« おねえちゃん、これ見てごらん! ギリシアにもいたセクハラ男 | Main | 文章読本はネタの宝庫! 斎藤美奈子に脱帽 »

2006.03.29

正気に戻ればただの人。 人気者の秘密とは?

 『ドン・キホーテ』のセルバンテスに「ガラスの学士」という短編(岩波文庫『セルバンテス短編集』所収)がある。
 主人公は自分の体がガラスになったと思いこんでいる学士。
 ところがこの狂人は、なぜか人気があり、いつも取り巻きがついている。
 そして、取り巻きのあらゆる質問に、気の利いたピリカラ毒舌で答えてみせるのである。
 現代でいえば、ビートたけしのような人なのだ(少し違うかなあ)。

 思うに、ビートたけしから「狂」の部分を取り去ってしまったらただの人になってしまうだろう。
 ときおりのぞかせる、たけしさんの生真面目な一面からは、正気なたけしの片鱗がうかがえる。
 ビートたけしは、やはり「狂」の人でなければならない。

 『論語』子路篇には、「中行を得てこれに与(くみ)せずんば、必ずや狂狷(きょうけん)か」の言葉がある。
 付き合うなら中庸の人がいいが、それが見つからなければ次善の策として「狂」の人と付き合うのがいい、というのである。
 ここでいう「狂」の人とは、進取の精神で、とりつかれたように前に進もうとするが、手足がついていかない者のことだという(呉智英『現代人の論語』)。
 つまり、もの狂おしく、常に前に突き進もうと必死になっている者の姿が思い浮かぶ。
 私にとっての、ビートたけしとは、このような人だ。

 全然、話がそれてしまった。
 セルバンテス「ガラスの学士」の主人公も、狂気が治ったとたん、ただの人になり、それでもついてくる取り巻きから逃れようと戦士への道を選ぶのである。

 それにしても、体がガラスになってしまうという着想、やはりセルバンテスはただ者ではない。

|

« おねえちゃん、これ見てごらん! ギリシアにもいたセクハラ男 | Main | 文章読本はネタの宝庫! 斎藤美奈子に脱帽 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 正気に戻ればただの人。 人気者の秘密とは?:

« おねえちゃん、これ見てごらん! ギリシアにもいたセクハラ男 | Main | 文章読本はネタの宝庫! 斎藤美奈子に脱帽 »