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2006.04.21

あと1年しか生きられなかったら、何を書くか?

 自分の命があと残りわずかだと知ったら、何を書くだろう。
 40歳を過ぎてから、何度か、こんな問いが浮かんだ。
 すでに、体のあちこちがぼろぼろで、同年代のライターの急死もあいついでいる。
 決して、空想的な問いではなかった。

 『日本中世の村落』(岩波文庫)を書いた清水三男にとって、同書がその答えだった。
 大戦中、いずれ出征すれば、帰れるという保証はない。そこで清水が残そうとしたのが同書である。
 事実、清水は、この本を書いてから5年後に、シベリアの捕虜収容所で人生を終えた。

 本の内容は、荘園制と、中世の村落のありさまをできるだけ忠実に描き出したものである。
 一般の人にはまったく関係がないテーマ、というわけではないだろう。
 ここに描かれている村落の人々の血は、自分にも直結している。だから、自分というものを知るためのひとつの資料なのである。
 最近、歴史の本を読むときには、そう思いながら読んでいる。

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