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2006.04.08

立花隆を号泣させた一冊! 日本人なら読むべし!

 いつか、あるテレビ番組で、立花隆氏が、一冊の本を朗読しはじめた。だが、その声は途中で途切れた。
 泣いている。あの立花氏が、本を読みながら泣いているのだ。

 立花隆氏を号泣させた一冊が、吉田満『戦艦大和ノ最期』(講談社文芸文庫)である。
 大和乗務員の数少ない生存者、吉田満氏が記した大和最期の闘いの記録だ。

 大戦末期、空からの特攻隊があったことはよく知られているが、大和も「海上特攻隊」として、帰るあてのない玉砕戦で散ったことはあまり知られていないようだ。

 大和の乗組員3000人余り。すべて自分が死ぬことがわかっていて出発したのである。
 彼らの苦悶は、本書のこの1行が代表しているだろう。

「~俺の死、俺の生命、また日本全体の敗北、それを更に一般的な、普遍的な、何か価値というようなものに結びつけたいのだ これら一切のことは、一体何のためにあるのだ(原文カタカナ)」

 迫りくる死に備えて、自分の死の意味、自分が生きていた意味を知りたい。その切実な思いが伝わってきて胸に迫る。

 吉田氏は沈着に、傾きつつある戦艦の最後の闘いを記していく。文語体、カタカナの本文はけっして読みやすくない。吉田氏は、文語体を使った理由として、
「死生の体験の重みと余情とが、日常的に乗り難い」
 と書かれているが、生死の境をくぐってきた人の言葉として重みがある。

 今日、私たちが平和に暮らしているのは、別に私たちの力によってではない。彼らのような犠牲の上になりたっていることを忘れてはならないだろう。

 死を眼前にして、乗員のひとり臼淵大尉は、自分を納得させるかのように、こうつぶやく。

「進歩ノナイ者は決シテ勝タナイ 負ケテ目ザメルコトガ最上ノ道ダ
日本ハ進歩トイウコトヲ軽ンジ過ギタ 私的ナ潔癖ヤ徳義ニコダワッテ、本当ノ進歩ヲ忘レテイタ 敗レテ目覚メル、ソレ以外ニドウシテ日本ガ救ワレルカ 今目覚メズシテイツ救ワレルカ 俺タチハソノ先導ニナルノダ 日本ノ新生ニサキガケテ散ル マサニ本望ジャナイカ」

 立花氏を号泣させた一節である。

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