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2006.04.02

つげ義春とぼくとぼくの見る夢

 作家のなかで、夢について書くのがうまいと思うのは、島尾敏雄、内田百閒、安部公房など。
 漫画家では、蛭子能収、そして、つげ義春である。

 およそ、人の夢の話を聞かされるのはたいくつなものだ。このまえ読んだ『人さまざま』でも、「無駄口」という項目に「昨夜見た夢について、長ながと話してきかせる」とあった。

 ところが、先に挙げた作家・漫画家の描く夢は、少しも退屈しない。
 なかでも、『新版つげ義春とぼく』に掲載されている、つげ義春の「夢日記」は面白い。面白いというより、変、といったほうがいいかもしれない。

 自身のイラスト付きで、いやに細かく描写された夢の風景は、たしかに、いつか自分も同じような夢を見たと思わせるような説得力がある。

 「部屋で正座していると、左足の膝の少し上あたりにイボのようなものがある。つまんでみるとプツリと千切れる。何だかわからない。爪をたててもう一度つまんでみると、細いヒモのようにズルズルと蛇の尾が出てきた」

 このような夢を以前、ほんとうに見たような気がしてくるのだ。そして、何より、夢日記とはいいながら、これは、つげ義春の描く漫画の世界そのものだ。

 『新版つげ義春とぼく』には、この「夢日記」のほかに旅日記、回想記、イラスト集が入っている。
 しかし、どこを読んでも、それは、つげ義春の体験なのか、夢なのか、それとも読んでいる自分が見た夢なのか、定かではなくなってくる。

 こうして、知らないうちに、つげ義春ワールドにみごとにはまってしまうのである。

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