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2006.05.25

アナタガタハ、カチクイカネ

 沼正三『家畜人ヤプー』は、日本人の子孫が、白人に奴隷のように扱われるというSFともSMともつかない怪作である。

 しかし、このように人間以下の扱いを、実際に白人(イギリス人)に受けた体験を書いたのが、会田雄次『アーロン収容所』(中公新書)である。
 ビルマで終戦を迎えた日本兵たちは、捕虜としてイギリス軍の監視下に置かれた。そのひとつが「アーロン収容所」だ。
 イギリス兵は、日本人を人間とは見ていなかった。日本人に、便所の用足しを見られようが、イギリス女性兵が裸を見られようが、彼らは平気である。日本人を人間とは思っていないからだ。家畜に見られても恥ずかしくないのと同じだ。

 日本人は、ほんとうにお人好しな民族ではないかと思うことがよくある。戦中戦後にも、ビルマやインドネシアのように日本に好意を抱いてくれていた国は多い。なかには、いつ、またイギリスと闘ってくれるのかと尋ねるビルマ人も大勢いたという。
 ビルマ人も、イギリス人には人間扱いされていなかった。白人に対する恨みや恐れは日本人に対するものより強いのだ。
 それにもかかわらず、多くのお人好し日本人は、日本がひたすら悪いことしかしてこなかったと思いこまされている。

 だいぶ、話がそれてしまったような気がする。
 『アーロン収容所』は、日本がお手本にしてきた西欧人の、あるひとつの面をみせてくれる本である。彼らがムキになって捕鯨禁止を叫んだり、日本人が活躍するオリンピック競技のルールを、平気で日本選手に不利なように改定する理由も、わかってくるような気がする。

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