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2006.05.23

恋愛は人間の迷執なり

 今の世の中、何かにつけ恋愛至上主義である。
 映画もテレビドラマも小説も漫画も流行歌も芸能ゴシップも、ほとんどが恋愛がらみだ。

「恋愛は破壊をつかさどるものである」の一文に始まる「プラクリチ」は、きのうの幸田露伴『連環記』(岩波文庫)に併載されていた短編である。
 釈迦は、恋愛は人間の最大の迷執である、と色恋沙汰をしりぞけた。
 本来、仏門にあるものにとっては、恋愛は御法度だった。その意味でいえば、いまの日本の仏教は堕落しているともいえる。

 いちおう、仏教徒であるなら、「愛こそがすべて」とか「愛が地球を救う」というような自堕落な標語は、口にするのもはばからなければならないのだ。
 まあ、そこまでいかなくても、愛など、一度も平和の役に立ったことがないのは明々白々の事実だが。
 マザー・テレサがいかに愛を説いても、金正日の根性は変えることができないだろう。
 恋愛が楽しいということと、愛が正しいということは別問題なのだ。

 それにしても、並の小説なら、単に男女の目が合ったというだけのことを「四眼相視て、両情互映した」と書く露伴は、やはりただ者ではない。

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