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2006.06.05

良心が少なくなればなるほど、金はたまってくるものなのさ

 朝方まで外で飲んでいたある日、家に帰ろうとして歩いていると、駅前でたむろしていた浮浪者のおっちゃんが、私を呼び止めた。一緒に飲もうというのだ。
 いい気分で酔っていた私は、何の躊躇もなく、地面に敷かれた段ボールの上に腰をおろした。

 それほど長い時間ではなかったろうが、何杯か酒をつきあって帰ろうとしたときだった。おっちゃんの一人が私に500円玉硬貨を握らせた。これで、ジュースでも買っていけや、と。
 ありがたく受け取った。浮浪者に金を恵んでもらった人間はそう多くはいないだろう。私は、これまでの人生、金があるときよりも、金がなかったときのほうがはるかに多い。

「大体金なんてものは、人間の良心が消えはじめたときに姿をあらわしてくるものなんだ」
 そう書いてあるのは、『ゴーリキー短編集』(岩波文庫)中の「零落者の群」である。
 汚い木賃宿に巣くう、最底辺の人々の気ままな人生と蹉跌。結局は金持ちの商人に住みかを奪われてしまうのだった。
 貧乏はしても良心は失わず、ってな具合にいきたいもんですな。

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