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2006.08.13

思考の達しうる限り

 岩波文庫は、名作の宝庫であるが、また、珍品の宝庫でもある。
 バァナァド・ショウ『思想の達し得る限り(メトセラ時代に帰れ)』も、そのひとつである。
 これは『人と超人』でも有名な、イギリス人劇作家が残した唯一のSF的劇作品だ。

 第一部のアダムとイブの話から、第五部の西暦31930年に至るまでの壮大な物語が展開される。
 収録されてはいないが、原作には、100頁にもわたる、進化論を中心に論じた前書きがついているという。

 筋書きを一言で説明するのはむずかしいが、永遠の命を約束されていたアダムとイブが、その永遠の寿命を放棄し、その子孫たちは、逆に、何百歳という長生き種族になっていく話だ。

 「人殺し」を発明したアダムとイブの子、カインは言う。
「私には、死が人生では或る役割を演じてゐるのだ、と囁く本能があるのです」

 死を意識しない人生など、そざかし無味乾燥な人生だろう。

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