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2012.04.30

成層圏魔城


小栗虫太郎は、
桃源社の小栗シリーズ全8巻(のち9巻)
をそろえれば、全作品が読める。 (ただし、
「エル・ドラドー」という短編だけは未発見)。

私ははじめて虫太郎に接した教養文庫版全5巻に
愛着があるので、この文庫を中心にして集めてきた。

なので、「黒死館殺人事件」は教養文庫版、
ほかの法水麟太郎ものは、扶桑社文庫
『失楽園殺人事件』『二十世紀鉄仮面』の2冊で、
魔境ものは、角川ホラー文庫『人外魔境』で補った。

そのほかは、桃源社版5冊を入手。


小栗作品は20代で読んだときは、まったく理解できず、
40歳過ぎて読んだら、異常に面白かった。
ある程度年齢を重ねないと面白さは感じないようだ。

それから、法水ものと、代表作はほとんど読み、
残すは、桃源社『成吉思汗の後宮』『絶景万国博覧会』
『成層圏魔城』に収められている短編だけになった。

虫太郎は外国語に強かったようだが、教養文庫版編集担当
の松山俊太郎氏によると、けっこう発音はいいかげんで、
間違いがたくさん見つかったという。

それにもかかわらず、どこから探したのかわからないような
へんちくりんな洋書から珍奇な情報を仕入れ、あれだけの
独自な小栗ワールドを築いたのだからたいしたものだ。

もし、私も小説家になれるような機会があるのなら、
虫太郎のような、若い者なんぞには理解できない作品を
書いてみたいと思う。

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2012.04.29

零人・天狗

眠気の解決策は、とりあえず眠いときは少し眠ることにした。
うとうとしながら机にかじりついていてもしょうがないもの。

いまやっている仕事は、資料は確認のために使うものの、
いちおう、頭には入っているテーマだから、
調子がでれば速いのだ。
だから、かえって進まないのかな。


大坪砂男『零人』『天狗』(出帆社)。

古書店では、いまでも、この2冊の、
薔薇十字社刊の箱入りものが、
けっこう高値で売られている。

表題になっている、「零人」と「天狗」は、
はじめて読んだときの衝撃があまりに大きく、
いまだ、読み返したことがない。


これだけの小編で、斬新かつ新奇なスタイルを
築き上げたのが、信じられなかった。

いまでも、自分で書くのなら、こんな洗練された
短編をまず書いてみたいと思っている。

大坪砂男の書くものはどれも視覚的に鮮烈だ。
とくに「天狗」の、珍妙な画は忘れ難い。

現在、大坪砂男の作品は、国書刊行会の、
探偵クラブシリーズ『天狗』で読める。

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2012.04.28

満州放浪篇

『橘外男ワンダーランド 満州放浪篇』
(中央書院)を入手。

これで、橘外男の本は、現在手に入る限りで
おおむねそろった。
あと、最初期の作品がいくつかあるが、
古書価が高すぎて、とても手がでない。

なにしろ、夢野久作、久生十蘭、小栗虫太郎など、
ほかの異端作家のようなまとまった全集が、
まだないのだ。

桃源社、現代教養文庫、中公文庫、中央書院
などでバラバラに作品集が出ているだけ。

でも、これだけでも、橘ワールドは満喫できる。
十蘭、虫太郎より、少しクオリティは
落ちるかもしれないが、強烈なアクの強さが魅力だ。

橘作品は、ジャンルが広い。
最初期の純愛告白系小説。
海外ルポ系実話(と称する)小説。
海外伝奇小説。
純然たる日本的怪談。
ユーモア小説。
満州放浪体験記。
晩年の自伝系作品。

私がいちばん評価するのは、「蒲団」「逗子物語」
などの怪談作家としての橘外男だ。
ほかのジャンルの作品より、迫真力抜群で、
レベルがずばぬけて高い。

ちくま文庫『橘外男集』(怪奇探偵小説名作選5)
の帯にある、「日本文学史上最もこわい怪奇小説
作家登場」というコピーはあながち嘘ではない。

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2012.04.27

新感覚派


講談社版日本現代文学全集67
『新感覚派文学集』

以前、ある読書会で、
横光利一が課題図書になったので、
少し、新感覚派が気になっていた。

この本には、
十一谷義三郎、片岡鉄兵、佐佐木茂索、
犬養健、稲垣足穂、今東光、池谷信三郎、
菅忠雄、鈴木彦次郎、石浜金作
の作品が収められている。

ほとんど、忘れ去られた作家たち。
私も稲垣足穂、今東光以外は知らない作家ばかりだ。

新感覚派の代表格、横光利一や川端康成が
入っていないのは、それぞれ別の巻に、
単独で収められているからである。

新感覚派に関する評論集も収録されていて、
お得な一冊となっている。

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2012.04.26

レティクル座妄想

元気よく仕事しようと思って、
筋肉少女帯の『レティクル座妄想』をかける。
無比無類超凡超俗のアルバムだ。

ハードな曲の間にはさまれた「愛のためいき」が
琴線に触れる(大林宣彦監督『時をかける少女』挿入歌カバー)。

大槻ケンヂとみうらじゅん。
この二人のセンスにはかなわない。
沈黙あるのみ。


昨日はノルマを達せなかった。
今日、取り戻さなければ。
すぐ、次の仕事が待っているのだ。


いま、好きな女性タレント。

●優香
相変わらずかわいいし、性格もいい。
悪いうわさをきいたことがない。
東北大震災にショックを受け、司会業から、
本当にやりたい女優業にシフトしている。
清水崇監督『輪廻』の演技もすごく良かった。
努力家だし、根性がある。

●黛英里佳(まゆずみ えりか)
「秘密のケンミンshow」の「辞令は突然に…」
コーナーのはるみ役。
この番組、司会者は2人とも嫌いだけど(笑)、
このコーナーだけは好き。

●井森美幸
よく「えーっ」と言われるが、けっこう好きかも。
最初はただのうるさいタレントと思っていたが、
けっこう仕事に真摯にとりくんでいる。
何かを食べているときの口元が魅力的。
品もけっして悪くない。

◎あるクイズ番組にセーラー服で出てくる
菊川怜と村井美紀も好き(妻には内緒)。

その他、多数。


なぜか魅力を感じない女性タレント。

ベッキー
黒木メイサ
梨花

ノーコメント。

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2012.04.25

シンボル形式の哲学

現在の仕事をしながら、新しい企画も、
つくっていかなければならない。

資料として、図書館から、
『イメージシンボル事典』(大修館書店)
『世界シンボル大事典』(大修館書店)
『原型と象徴の事典』(青土社)
を借りる(3冊で厚さ16センチ)。
重い。

このほか、古書店で、
エルンスト・カッシーラ『シンボル形式の哲学』
(岩波文庫 全4巻)を購入。

どんな企画になるか自分でもわからないが、
人間の無意識にあるイメージやシンボルの原型と、
その意味みたいなことに、いま興味がある。


それはともかく、まずは今の仕事を仕上げなければ。
たいへんだ。

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2012.04.23

大伽藍

昔から贔屓にしていた古本屋さんが、
突然店をたたんでしまった。
びっくりした。

よく家まで買い取りに来てもらっていた。
(私は絶対ブックオフは利用しない。物書きを業とする者として、
本物の新刊書店さんや、本物の古本屋さんへの仁義だ)
さあ、いままで何百冊くらいになるだろうか(大げさか)。

そのうち購入しようとねらっていた
ユイスマンスの『大伽藍』(桃源社)は、
どうなっただろうか?

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2012.04.22

これも、もはや手放してしまった本だ。

ロザリンド・アッシュ『蛾』(サンリオSF文庫)。

一部の読者の間では、有名なコレクターズ・アイテム
となっていた。
作者とか中身がどうこういうのではない。

後ろの自社目録に、レイ・ブラッドベリの
『万華鏡』という本が紹介されている。
その訳者のところが、「川本三郎=誤訳」と
なっているのである。

世にも珍しい誤植だ。

私が買った本には、「誤訳」の部分に
シールが貼ってあった。

いまでも、サンリオSF文庫のなかで、
もっとも古書価が高いはずだ。

まあ、ある意味、こんなことでしか話題に
ならなかった気の毒な本ではある。
訳者は工藤政司氏。

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2012.04.20

「黴(かび)」「爛(ただれ)」

散歩コースに古書店があるとつい立ち寄ってしまう。

最近は、衝動買いするといけないので、
気になった本は、とりあえずすぐ買わないで、
書名、値段、書店名をメモしておく。

こうすると、2回目に見たときは、
それほど欲しくなくなっていたりする。

しかし、店頭の100円コーナーは別だ。
衝動買いもOK!

『日本の文学 徳田秋声(一)・(二)』
(中央公論社)を買う。

「縮図」「あらくれ」のような有名作のほか、

「黴(かび)」「爛(ただれ)」……。

こんなエグい作品名が並ぶ。
日本文学史上でも屈指の尾籠(びろう)なタイトルだ。

よ、読みたい。。。
当時、ケチョンケチョンに貶され、
顰蹙を買った自然主義作品群を読まずにいられようか!
再評価せずして、何のための売文業か!

まあ、それはともかく、
この中央公論の「日本の文学」は、名文学集だ。

私は三島由紀夫が解説を担当した
『内田百閒 牧野信一 稲垣足穂』
の巻を読んで、日本のもう一つの文学史に目覚めた。

その名文学集が風にさらされ、
1冊100円で売られている。
なんか、一抹の寂しさも……。

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2012.04.19

牡猫ムルの人生観

ホフマン『牡猫ムルの人生観 上・下』(角川文庫)

平成元年に、角川文庫創刊40周年記念として、
刊行された「リバイバル・コレクション」の一冊。

本当は、創土社の『ホフマン全集』をもっていたのだが、
引っ越すときに処分してしまったので、
ホフマンの本で残っているのは、これと、
『黄金の壺』(岩波文庫)だけになった。

「黄金の壺」は、『カロ風幻想作品集』のなかの一作だ。


ホフマンは、ドイツロマン派のなかでも、
怪奇趣味の強い作家と言われるが、
「ムル」のように、チャーミングなおかしみを
漂わせた作品も書いている。

なにしろ、著者が猫で、しかも、編集者のミスで、
全然関係ない、クライスラーなる人物の伝記が、
処々に紛れ込んでいる、というメチャな設定なのだ。

一種の奇想小説といえるだろう。

漱石の『猫』と比較されることがあるが、
実は、漱石はこの作品のことを、知人から聞いて
いたようだ。
ただし、読んだわけではないらしい。

東西猫対決を楽しんでみるのも一興だ。

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白い白い白いサンゴ礁

閉め切りも間近。
ようやく戦闘態勢が整う。
体が目覚めてきた。
BGMも調子のいい曲にしよう。


Mi-Keは、「踊るポンポコリン」
で有名なB.B.クイーンズの、
女性コーラス3人によるユニットである。

B.B.クイーンズではふざけたおっさんにしか
見えなかったが、あの男近藤房之助は、
実はすごいミュージシャン。


Mi-Keのアルバム、
『忘れじのフォーク・白い2白いサンゴ礁』も、
フォークソングのカバー曲ばかりだが、
なかなかの名盤だ。

とくに、オリジナル曲の「白い2白いサンゴ礁」
がすばらしい。

軽快なフォークソング風だが、
詩がすごいのだ。


「夕暮れ時は さびしそう
 あの素晴らしい愛をもう一度 あなた

 いつか街で 会ったなら
 この広い野原いっぱい Ah あの日に帰りたい

 夏色のおもいで 岬めぐり
 学生街の喫茶店 恋人よ 夢の中へ

 白い色は 恋人の色
 白いブランコ 白いギター 白い2白いサンゴ礁

 ~~~(以下略)                 」


ある年代以上の人なら、見ただけでわかるはずだ。

これは、作詩ではないから、
「順列組み合わせ:長戸大幸」となっている(笑)。
ビーイングの創始者、音楽プロデューサーだ。

作編曲は、あの織田哲郎。

豪華スタッフである。

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2012.04.10

ランゲルハンス島航海記

1990年代前半、いまはなき博品社から、
「博物学ドキュメント」という
シリーズが続々と刊行された。

挿絵の多い海外の博物書、奇書、怪書ばかりだった。

第1期10冊。
第2期10冊。

ためしに、第1期のタイトルを並べてみると…

『キリン伝来考』B・ラウファー
『奇怪動物百科』J・アシュトン
『ランゲルハンス島航海記』N・N・フリーゼル
『サイと一角獣』B・ラウファー
『中国のテナガザル』R・V・フーリク
『動物と地図』ウイルマー・ジョージ
『ノミ大全』B・ルヘイン
『昆虫のフォークロア』ルーシー・W・クラウセン
『中世動物譚』P・アンセル・ロビン
『シェイクスピアの鳥類学』ジェイムズ・E・ハーティング


どうです。マニア心をそそられるでしょう。
全部そろえたかったけど、ちょっと高価だったので、
気に入ったものだけ何冊か買った。


『ランゲルハンス島航海記』は、
英語の古書の間に発見された
300年前のドイツ語の航海記である。

人を食ったタイトルを見てもわかるように、
まったく架空の物語で、作者も偽名だ。

それにもかかわらず、幻の島に関するもっともらしい
記述に胸をときめかされる。

こんな本を私は読みたいのだ、と再確認した。

あの、ハラルト・シュテュンプケ『鼻行類』
(現在は平凡社ライブラリー)や、
レオ・レオーニ『平行植物』(工作舎)
を彷彿とさせるギミックの快楽。


役に立つ読書?
笑わせるんじゃない!

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