« 白い白い白いサンゴ礁 | Main | 「黴(かび)」「爛(ただれ)」 »

2012.04.19

牡猫ムルの人生観

ホフマン『牡猫ムルの人生観 上・下』(角川文庫)

平成元年に、角川文庫創刊40周年記念として、
刊行された「リバイバル・コレクション」の一冊。

本当は、創土社の『ホフマン全集』をもっていたのだが、
引っ越すときに処分してしまったので、
ホフマンの本で残っているのは、これと、
『黄金の壺』(岩波文庫)だけになった。

「黄金の壺」は、『カロ風幻想作品集』のなかの一作だ。


ホフマンは、ドイツロマン派のなかでも、
怪奇趣味の強い作家と言われるが、
「ムル」のように、チャーミングなおかしみを
漂わせた作品も書いている。

なにしろ、著者が猫で、しかも、編集者のミスで、
全然関係ない、クライスラーなる人物の伝記が、
処々に紛れ込んでいる、というメチャな設定なのだ。

一種の奇想小説といえるだろう。

漱石の『猫』と比較されることがあるが、
実は、漱石はこの作品のことを、知人から聞いて
いたようだ。
ただし、読んだわけではないらしい。

東西猫対決を楽しんでみるのも一興だ。

|

« 白い白い白いサンゴ礁 | Main | 「黴(かび)」「爛(ただれ)」 »