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2012.05.19

堕落論

「生きよ堕ちよ、その正当な手順のほかに、
真に人間を救い得る便利な近道がありうるだろうか」

高校生の僕は、これにやられてしまった。

坂口安吾『堕落論』(角川文庫)

久しぶりに読み返してみた。

やはり、ガキには、この本の本質を、
見抜くことはできていなかった。

単に「堕落」という言葉に過剰反応した
だけだった。

安吾は、大戦後、いや戦中から、冷徹な目で、
日本、および日本人を見守っていた。

あれほど神聖視されていた特攻隊員の勇士は、
闇屋を始め、
貞節を讃えられていた未亡人は、
新たな恋を芽生えさせている。

彼らは堕落したのではない。
人間に戻っただけだ。

安吾の堕落論は、無理してきた日本人に、
いったん堕ちて、改めて人間をやりなおせ、
といいたかったのだ。

これを機会に安吾の本を読み直してみよう。

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