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2012.06.14

馬鹿について

肌寒い微妙な気温のせいか、元気がでない。

景気づけに「燃えよドラゴン」を観る。
アクションシーンは名シーンばかりなのだけれど、
全体に比べて時間が少なすぎるというか……。

その点、「怒りの鉄拳」のほうが格闘シーンの
割合は大きいかもしれない。
日本人は悪者だけれど。


『馬鹿について 人間‐この愚かなるもの』
 ホルスト・ガイヤー著/満田久敏・泰井俊三訳
(創元社)

第1部 知能が低すぎる馬鹿
第2部 知能が正常な馬鹿
第3部 知能が高すぎる馬鹿


著者はドイツの精神科医。
文字通り、「馬鹿」についてのあけすけな考察。

こんなこと書いていいのか?


大衆というのは、なぜ馬鹿なのか。

「この激しい生存競争にもまれながら、大思想家に
私淑して、哲学的な根本理念を本当に身につける
ひまが一体誰にあるだろうか? 夕方になると、
ホーマーやその他の偉大な世界的詩人の詩集を
手にする人が今でもあるだろうか? 享楽活動、
いわゆる宴会や社用に追われてしまうぐらいが
おちである。」

まったくその通りです、というしかない。
どうでもいいけど、
ドイツの人も、仕事終わりには宴会するのか?
ネクタイをハチマキにして、タコ踊りする
ドイツ人て想像できないな。


「そうして人民の声の数は算(かぞ)えるが、
その質を秤(はか)らない民主主義、つまりどんな
馬鹿者でも、禁治産者でさえなければ、
一人前と認める民主主義は一体どうなるのか?」

それは、いわない約束でしょ(笑)。
まったく、その通りだと思うけど(笑)。


こんな調子で、まったくまっとうな意見なのだが、
あまり大っぴらにはいえないことをズケズケと
言っている一種痛快な本だ。


最後に、もう一つ気に入った、自戒も込めての引用。

「本当の知能はないくせに、高尚な言葉がむやみと
まき散らせる能力は、浅薄でおしゃべりの社交界で
活躍する薄馬鹿の一ばんの特徴で、精神病学者の
ブロイラーは、これを「比例痴呆」と呼んだ。」


それにしても、この本、1958年初版だから
日本でも出せたんだよなあ。

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