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2012.08.04

歯車

相変わらず、睡眠を、小分けにしてとり、
合間に仕事をする生活。

痴漢でつかまった男が、警察の調書を
盗み読みして、被害者の住所、電話番号を知り、
拘置所から被害者に手紙を出したという。

「あなたのことは知っています。可愛いね」とかって。

調書を盗み見られるなんて、なんと杜撰な管理!
犯罪者のプライバシーには異常なほど神経質に
なるくせに、被害者のプライバシーは
ないがしろにされる(怒)。
この反省もない痴漢野郎を去勢しろ(激怒)。

芥川龍之介の作品では、これがいちばん好き。

●「歯車」(新潮文庫『河童・或阿呆の一生』所収)

日本文学史に残るホラー小説だ。
幽霊、ドッペルゲンガー、幻覚……。
狂人による狂気のサンプル集といってもいい。

あえて、近い作品といえば、内田百間(門構えに月)の
怪談に近いだろうか。
日常にさりげなく潜む恐怖のたね。
あまりに当たり前のように書いてあるのがなお怖い。

このように限界近いような、恐怖と緊張のピリピリした
空気感。芥川の晩年作品特有だ。

主人公の見る「歯車」の幻視は、実は、偏頭痛の前兆現象
として、医学的に知られた現象である。
この幻覚のあと、激しい頭痛に見舞われる。

あんなことにならなければ、芥川はその後、
どんな作品を書いたろうか。
「続・歯車」を書いてみたい。

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