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2012.08.13

西の魔女が死んだ

M書房さんへ宅急便でゲラを返し、
加筆原稿もデータ送信した。
一山越えた。

さあ、T社の原稿に集中。

●『西の魔女が死んだ』
  梨木香歩(新潮文庫)

泣ける小説という評価の定着した本。
なぜか「泣ける」というフレーズに
弱い私は、さっそく読んでみたわけだ。

女子中学生と祖母の物語。
テーマ的には、植村花菜の歌「トイレの神様」と
共通するものがあるかな。

なぜ、少女と祖母なのか?
男にはピンとこない組み合わせだ。


中学校に新入学した主人公は、不登校になり、
母方の祖母宅に預けられることになる。

祖母といっても、外国人。母はハーフだったのだ。
そして、祖母は、実は「魔女」だったのである。

ここで、これは何か現実離れしたファンタジーなのかと、
ふと危惧を抱いたが、そんなことはなかった。


品のいい「西の魔女」と暮らすうちに、
生活感を取り戻していく主人公。
しかし、思わぬ刺客がいた……。


祖母と気まずい別れをして家に戻った主人公は、
いつしかふつうに登校するようになっていた。

歳月は過ぎ、西の魔女はあの世に旅立った。
そして、起こった小さな奇跡。

まあ、これ以上ネタばらしするわけにはいかない。


私は、なぜか友情物に弱い。
だから、この少女と祖母の友情物語にも、
悔しいが、嗚咽してしまった。

人生には、取り返しのつかないこともある。
そして、思いがけない奇跡も起こる。

先ほどファンタジーではないといったが、
撤回しよう。
本書は、良質の、心優しいファンタジーである。

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