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2012.09.28

不死細胞ヒーラ

新しい仕事に入る。
それと並行して、
何冊が宿題の本を読む。

『鏡花全集』も再び読み始める。
現在、三巻目。

次に決まっている仕事の企画書を
来週までに書かなくちゃ。
画期的な本にしたい。
そのほか、いくつか企画書をまとめる。

10月から原宿の太田記念美術館で、
月岡芳年展がはじまる。

●『不死細胞ヒーラ 
  ヘンリエッタ・ラックスの永遠なる人生』
 レベッカ・スクルート/中里京子訳(講談社)


現在、世界中の医療研究所にかならずと
いっていいほど置かれているのが、
「ヒーラ細胞」だ。

元々は、1951年に亡くなった、
たった一人の黒人女性のガン細胞だ。

それが培養されて、なんと現在に至るまで、
増殖を続けているのである。

この細胞が、どれくらい医学の発展に
貢献してきたかはかりしれない。

しかし、元々の細胞の持ち主だった、
ヘンリエッタ・ラックスは、
そんなこととは夢にも思わなかった。

家族たちが、それを知らされたのも、
何年も経ってからだった。

ヘンリエッタはどんな女性だったのか、
その家族はその後どうなっていったのか。

著者の取材過程もスリリングで目が離せない。
科学書を読んで、久々に興奮した。

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2012.09.25

死にいたる病

ようやく、脱稿。
締切より2週間遅れ。
申し訳ない……。

もう、生活乱れまくり。
3時間おきに仮眠をとる。
ちょっと、ヘロヘロ。

これには難渋した。

●『死に至る病』
  キルケゴール/斎藤信治訳
  (岩波文庫)

意味がわからねえ~。
頭に言葉が入ってこない。
俺の頭じゃ無理だあ~。

そこで、こっちを読んでみた。


●『死にいたる病』桝田啓三郎訳
 (ちくま学芸文庫)

あ、これなら、私の悪い頭にも入ってきそう。
注と解説が本の半分。
これだけ親切な解説ならなんとかわかる。


「死が最大の危険であるときには、
 人は生きることを乞い願う、
 しかし、さらに恐るべき危険を学び知るとき、
 人は死を乞い願う。
 こうして、死が希望となるほど危険が大きいとき、
 そのときの、死ぬことさえもできないという
 希望のなさ、それが絶望なのである」


結局、死にいたる病というのは、
絶望してるのに死ねないという絶望、
そのことなのである。

ああ、そんなのこれまでの人生で、ありありだったぞ。
俺の場合(笑)。

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2012.09.22

人生の短さについて

事務所にテレビ局から連絡があって、
電話取材がしたいとのこと。

以前に書いた本についてのコメントだ。
まあ、それくらいならお安い御用。

今の仕事、
24日までに、完成原稿入稿。
なんとかギリギリかな。
これでカタをつけるぜ。

●『人生の短さについて』セネカ(岩波文庫)

「死人のように生きるより、むしろ死人でありたい」

有名なこの言葉、実は、セネカの言葉ではない。
セネカがクリウス・デンタトゥスという人物の
言葉を紹介したものだ。

世の中に流布した名言には、こういう場合が多い。


セネカの言葉としては、こんなのはどうだ。

「生きることは生涯をかけて学ぶべきことである。

 そして、おそらくそれ以上に不思議に思われるであろうが、

 生涯をかけて学ぶべきは死ぬことである」

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2012.09.19

断食芸人

カフカの代表作といえば「変身」か「審判」だろうが、
今回は、「断食芸人」をとった。


●『変身・断食芸人』カフカ
  山下肇、 山下萬里訳(岩波文庫)

この超短編には、近代的な悲劇の
エッセンスが詰まっている。
同時に、喜劇のエキスも。

断食するしか技のない芸人は、
しかし、プライドだけは高い。

いまでも、人気絶頂期の過去にすがるが、
凋落は覆い隠せない。
断食芸人は不服だ。

もはや、だれも見向きもしない、
断食芸人の存在さえ忘れられる。
誰も見張っていない断食にどんな意味があるのか?
死の直前、彼は監督に重要な内訳話をする。

「わしはな、美味いとおもう食物が
 みつからんかったからだよ。
 美味いものがありさえすりゃあ、なにも、
 人気集めなどせんで、おまえやみなの衆みたいに、
 たらふく食ってくらしとったと思うよ」

ああ、この身も蓋もなき告白。
あんたの一生、いったい、なんだったんだ!
断食芸人のプライドだけがすべてだった。
これこそ不条理。

人はなぜ、プライドなどというものをもってしまうのか。

最後に、ワラと一緒にさっさと葬られる断食芸人の死にざまに、
不謹慎ながら、ケタケタ笑ってしまった(ごめん)。

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2012.09.18

見本届く

今月刊行される本の見本が届いた。
いい感じの表紙だ。気に入った。

私の本の最初の読者は、いつも妻。
これで、売れるかどうかを占う。

しかし、今回の中国の反日デモなどを見ていると、
よく、やってますなあ。

子どものころの反日教育も影響しているのだろうが、
政府の煽りに、まんまとのせられている。

しかし、いつかは、このパワーが国内に向けられる。
そこまでは、まだまだ程遠い感じだが。


しかし、日本にも、尖閣など差し上げれば、
などというふやけた輩もいるのだから、
五分五分か(苦笑)。

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2012.09.16

癒しとしての死の哲学

締め切り延ばしてはもらったものの、
厳しい状況には違いない。
筋トレ、ストレッチ、散歩も
十分行なえない。

せめて、筋トレとストレッチだけは
やっとかないとな。
この歳だと、体力低下がはやい。

ビートルズ「イン・マイ・ライフ」
のイントロのピアノが好き。
何度聴いても飽きない曲。

面白そうなんだけどなあ。

●『癒しとしての死の哲学』
  小浜逸郎(洋泉社新書)

脳死と臓器移植、ガンと告知、安楽死。
医療の問題点をあげながら、
現代における死を哲学する。

おもしろい。
けれど、フーコーやハイデガーが
出てくると思考停止状態に。
いや、そんなに難解なことは書いていないのだけど。

ちょっと、いったん、保留にしとこう。

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2012.09.14

桜の森の満開の下

締切は、少し猶予を頂いた。
それでも、気を抜いている時間はない。
来週の水曜日まで休みなしノンストップ!

●時期はずれながら「日本近代三桜小説」(呉智英氏命名)。

「桜の樹の下には」梶井基次郎(新潮文庫『檸檬』所収)

「山桜」石川淳(新潮文庫『焼跡のイエス・処女懐胎』所収)

「桜の森の満開の下」坂口安吾(岩波文庫『桜の森の満開の下・白痴』所収)


どれも短編ながら、一級の幻想作品。

基次郎作品は、桜の樹の下には死体が埋まっているに
違いないという、退廃的な妄想。

石川淳作品は、山桜が死者を現出させる想定外の幻想譚。

そして、破天荒な設定、色彩感覚、動物性で、
群を抜いている安吾作品。
この人の作品のなかでも、
「夜長姫と耳男」の系譜に入るかもしれない。
けっこう、血を見る話だ。

桜の下の狂気。それだけが3作品の共通点か。
また、桜吹雪に、狂気はよく似合う。

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2012.09.12

黙示録論2

11月の予定だった、ヴァン・ヘイレンの
ドーム公演が延期になってしまった。
エディが緊急の手術をしたためである。
4~6か月は必要だとか。

公演は来年に持ち越される予定だが、
大丈夫かなあ。エディ。
しびれるギター、聴かせてくれ!

鎖骨にヒビが入っているようだが、
放っておいたら、だんだん、
痛くなくなってきた。
こういうの、医者に行っても、
別に特別な治療法はないからね。

アイザック・ニュートンは、ほとんどの時間を、
聖書研究に費やしていた。
なかでも研究の対象は、旧約聖書「ダニエル書」と、
新約聖書「ヨハネの黙示録」という、2つの黙示録だった。

出版されたニュートンの研究には、
『ダニエル書と聖ヨハネ黙示録の預言についての所見
(Observations Upon the Prophecies of Daniel
  and the Apocalypse of St. John. )』
がある。

ほかにも、出版されていない膨大な研究草稿があるのだ。


ニュートンは、黙示録の暗号を読み解くことによって、
あることを知ろうとしていた。

そのあることとは?

この先は、今年、出版される新刊に書いていますので、
よろしく!

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2012.09.11

黙示録論

締切は過ぎたものの、
100%は達成できなかったので、
あとは残りを完成させなければ(汗)。
もうちょいだ。

自分で企画したとはいうものの、
楽な仕事ではなかった。
でも、好きでやっているのだから。

候補に入れていた本も、
読みちらしたあげく、ボツにしたのも多い。
まあ、棚に眠ってたのをこの際、
読むことができたのはよかった。

改めて読もうかと思った本。

●『現代人は愛しうるか 黙示録論』
  D・H・ロレンス/福田恆存訳(中公文庫)
 (現・『黙示録論』ちくま学芸文庫)


ロレンスの「黙示録」への嫌悪、憎悪の本。

いや、そもそも「黙示録」こそが憎悪の書であった。
ユダヤ教徒、キリスト教徒の、怨念、憎悪、選民思想、救いを、
思わせぶりな象徴や、わざとわかりにくい隠喩で
飾り立てたのが、「黙示録」であり、

その極端なのが新約聖書「ヨハネの黙示録」であった。

思わせぶりな象徴は、想像力の乏しいユダヤ教徒が、
異民族からイメージ・シンボルを借りてきたからであり、
わかりにくい隠喩は、世の権力者からの隠れ蓑だった。


「神的な権力を崇拝するたぐいの精神は、
 かならずや象徴においてものを考える
 という傾向があるからである」


「いずれにしろ、純粋なクリスト教精神なるものは国家、
 あるいは一般に社会というようなものとは
 絶対に相容れぬ存在である」


以前、読んだときは、
こんなところにアンダーラインを引いていたのだなあ。
もう一回ちゃんと読み返したい。

じゃ、仕事に戻ります!

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2012.09.08

伝道の書

気を抜くと、すぐ眠気に襲われる。
もう、これに効く薬はない。
こまめに仮眠をとる。

旧約聖書のなかで、「ヨブ記」についで好きなのは、
「伝道の書」だ。

この書だけは、旧約聖書で異質な感じがする。
何か、間違えて紛れ込んでしまった、
というような感じなのである。

なにしろ、しょっぱなから、

「空の空、空の空、いっさいは空である」

なのだ。

えらく虚無的な匂いがする。

「良き名は良き油にまさり、
 死ぬる日は生まるる日にまさる。
 悲しみの家にはいるのは、
 宴会の家にはいるのにまさる。
 死はすべての人の終わりだからである」

いまは、時間がないのだが、
「伝道の書」の死生観を探ってみたい気がする。

中途半端で御免!
仕事に戻らなければ。

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2012.09.06

ヨブ記

締切まであとわずか。
もはや、昼も夜もない。
眠くなったら寝て、
起きているときはほとんど仕事、
という毎日。

今日、読んでいる資料。

●『ヨブ記』関根正雄訳(岩波文庫)

旧約聖書のなかで、もっとも重要な書を
一つだけ選ぶとしたらどれか?

衆目は一致している。
「ヨブ記」だ。

旧約聖書は、大きく[律法][預言者][諸書]
に分かれるが、
「ヨブ記」はそのうち、[諸書]に当たる。
[諸書]には、ほかに「詩篇」「箴言」がある。

「ヨブ記」。
これくらい劇的な展開をもつ書は旧約聖書では
ほかに見当たらない。

以下、大幅に端折って内容をたどってみると……。


ヨブは裕福でありながら、信心深い人物だ。
あるとき、サターンが神にささやく。
彼の体に害を及ぼせば、信仰も捨てるに違いないと。
神はサターンにヨブの身を委ねる。

かくて、ヨブはサターンによって、全身腫れ物だらけにされた。
それでも、ヨブは信仰を捨てない。
そこに、3人の友人が訪ねてくる。

この3人の友とヨブの討論が、一つの見せ場だ。
さしものヨブの信仰心も揺らぎ始める。

さて、最後に、なんと神とヨブが直接対話する。
ここが、戦慄的な、この書の白眉だ。

これ、すごいんだよねえ。
旧約聖書は全部読む必要はないから、
「ヨブ記」だけは読んでおくべきだと思う。

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2012.09.04

韓国の科学書

行きつけの飲み屋のお客さんに、
韓国人留学生の男女がいる。

過日、私の本の韓国語版をあげたのだが、
一時帰国して、最近戻ってきたとのことで、
お礼にと、お土産を持ってきてくれた。

韓国海苔、韓国茶のほかに、
私が頼んでおいた韓国の科学書が入っていた。

お土産は何がいいかと聞かれたので、
韓国の科学書の新刊を見てみたいと
頼んでおいたのだ。

とくに、科学に詳しいわけではないだろうから、
きっと、韓国の本屋さんの売り場で、
あれこれ迷って選んでくれたのだろう。
ありがたい!

もちろん、ハングル文字なので読めないが、
表紙に英語表記があった。

●『INFORMATION COMMUNICATION & NEW MATERIALS』

写真やイラストが多いので、読めなくても、
十分楽しい。

これを機会に、
ハングルを勉強してみようかな。

こんな時期だから、なおさらうれしかった。
トップがどんなだって、
こういうかたちで庶民の友好は保たれていくだろうと、
信じた。

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2012.09.03

大理石

至急必要となった資料を借りに
図書館に行ったら、休館。
そうか、今日は月曜だった。
曜日の感覚が狂っていた。

資料にしようと思って、
こんな本を棚の奥から引っ張り出した。

●『大理石』アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグ
 澁澤龍彦、高橋たか子訳(人文書院)

最近、マンディアルグの名前、聞かないなあ。
まだ、忘れられた作家になってしまったわけではあるまい。
久しぶりに読んでみると、一行目から引っ張り込まれる。
連想から回想、回想から夢想、夢想から観想……。

全編が豊富なイメージの玩具箱だ。

走り読みする。
どんな話かほとんど忘れていたが、
最後のほうの「死の劇場」は覚えていた。
そうそう、これこれ。
こんな突飛な発想がマンディアルグの真骨頂だ。

奢覇都館の『満潮』もあったのだが、売ってしまったか。
もう、再び手に入れるのも大変だ。

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2012.09.01

レオナルド・ダ・ヴィンチの手記

うう~、なかなか毎日のノルマを
達成できない。
でも、だいぶ見えてきた。

先に、B文庫さんのゲラチェックと
追加原稿を終わらせておこう。

資料のなかの1冊(というか上下巻で2冊)。

●『レオナルド・ダ・ヴィンチの手記』
 杉浦明平訳(岩波文庫 全2冊)

レオナルドの残した膨大な手記のなかから、
訳者が、テーマごとに章句を選択し編集した。

人生論、文学、芸術、科学、技術など。
なかでも科学の占めている割合が大きい。

なかなかの名言が眠っている。

「権威を引いて論ずるものは才能を用いるにあらず、
 ただ記憶を用いるにすぎぬ」 耳が痛い。

「自分に害なき悪は自分に益なき善にひとしい」 う~ん。

「時をもちながら時を待つものは友人を失い、
 金も手に入らない」 そういうことだったのか。

レオナルドの、着眼点、着想力、分析力がステキ。
何より、万能人レオナルドの全貌が漸く透かし見える。
これ、下手な小説を読むより面白い。

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