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2012.12.30

カビリアの夜

冬至は過ぎたので、これからだんだん
日は長くなっていく。
私の頭も本調子になっていくだろう。
期待。

●「カビリアの夜」フェデリコ・フェリーニ監督

フェリーニの映画で好きな作品はたくさんあるが、
「カビリアの夜」も忘れがたい一作だ。

世の中には、奇跡のような演技というものがある。
「カビリアの夜」のラストで見せる、
ジュリエット・マシーナの笑顔は、
まさしく映画史に残る超絶名演技だ。
いや、もはや演技なんてものではないかも。

この一瞬の笑顔のために、この映画は撮られた、
と言っても過言ではない。

結婚詐欺師に騙され、すべてを失った主人公。
放心してさまよっているところに、
音楽隊が通りかかり、その陽気な音楽に
いやされた主人公が見せる奇跡の笑顔。

どんなに絶望したとしても、
人は笑顔を取り戻せる。
フェリーニのメッセージが心に沁みる。
もちろん、世の中、そんな甘いものじゃ
ないことはよくわかっているにしても。

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2012.12.28

系統樹曼荼羅

こんな本をつくってみたかった。

●『系統樹曼荼羅』三中信宏+杉山久仁彦
 (NTT出版)

ありとあらゆる系統樹の図版が満載。
まず、図版を見ているだけでも飽きない。

内容は大きく3つに分かれている。
「生物樹」
「家系樹」
「万物樹」

それぞれに関連する系統樹の紹介。
古来より、人はなんでも分類してきた。
そして、その知識を容易に記憶できるよう、
図像化した。
それが系統樹だ。

新プラトン学派のポルピュリオスの樹状図から、
生物学者エルンスト・ヘッケルの
眼を見張る見事な生命の樹、
赤塚不二夫漫画の登場人物のツリーまで、
多彩な系統樹がぎっしり詰まっている。

一遍に読んでしまうのはもったいない。

樹状図は、私たちの思考のクセと密接な
関係がある。
その点を、ぜひ考察してみたい。

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2012.12.25

なじみの店

先週、なじみの飲み屋さんが店を閉じた。
安くて、気楽に立ち寄れる店だった。
ちょっと、代わりになる店はないなあ。

この店で企画をまとめたこともあった。
飲みながら、思いついた企画を
がんがんメモしていく。
私の場合、閃きは飲んでいるときに生まれる。

いつも利用している図書館が移転してしまう。
すっごく不便になる。

仕事の資料は、できるだけ買うようにしているが、
高価本や古書は図書館を利用せざるを得ない。
だから、遠くに移転されると困るのだ。
一応、散歩コースに入るくらいの場所だけど。

もう、今年も1週間しかなくなった。
いつものように、年末年始もほとんど仕事だ。

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2012.12.18

エラズマス・ダーウィン

区の図書館に、私の新刊が5冊入っている。
いまのところ、全部貸し出し中。
タダなら読むという人は多いのだな。

書店で、読者に財布を開かせる、
ということはけっこう大変なことだ。
買っていただけるのは本当にありがたい。

仕事のために、科学関係の資料を読む。
その1冊。

●『エラズマス・ダーウィン』
 デズモンド・キング=ヘレ(工作舎)

進化論で有名なチャールズ・ダーウィンの祖父。
実は、チャールズに先駆けて進化論を唱えていた。

一種の万能人だ。
博物学者、植物学者、発明家、詩人……。
孫のチャールズより偉い。

詩人の仕事として名高いのが、
『植物の園』である。
リンネの植物学にインスピレーションを得て、
植物の生態を、博物学的知識を元に、
詩にまで昇華させた。

『植物の園』の一部、「植物の愛」が
国書刊行会・世界幻想文学大系の
『英国ロマン派幻想集』に収録されている。

「つれなく内気なウコンは、どんなに手を
 尽くして言い寄られても、
 恋する夫にはその目をそむける。
 あごひげもない四人の若者は霊的な愛の
 やさしさをもって、
 つれなき美女の心を動かす。」

こんな調子で、花の中の雄しべと雌しべの
数や形態を表現する。
世にも奇妙な詩編だ。

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2012.12.14

キルヒャーの世界図鑑

選挙の季節。
脱原発を争点にしている政党がある。
確かに原発問題も重要だけど、
それだけではないだろう。

尖閣列島をはじめ、領土問題をどうするのか。
国民の安全をどう守るのか。
あんたら、どう考えているのだ。
こっちのほうが緊急な問題だ。

一部マスコミによる、特定政党に対する
ネガティブキャンペーンも始まった。
いつものことだ。
うんざり。

●『キルヒャーの世界図鑑』
  ジョスリン・ゴドウィン(工作舎)

ルネサンス期ドイツの万能人アタナシウス・キルヒャー
の業績を一言で説明するのは困難だ。
科学者、発明家、エジプト学者、シナ学者、
地質学者、天文学者、音楽家、数学者……。
とにかく、世界のすべてを知ろうとした。
多くの著書は、魅力的な図版が豊富に使われている。
百聞は一見に如かず。
奇想の天才だ。

●『バロック科学の驚異』
  荒俣宏編著(リブロポート)

荒俣宏の「ファンタスティック12(ダズン)」
の一冊。
キルヒャーの代表作から、図版だけを掲載。
『ノアの方舟』『支那図説』『地下世界』
『キルヒャー博物館自然史標本目録』
いくら見ていても飽きない。

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2012.12.12

愉悦の蒐集

とりあえず、必要な公的手続きは、
ほとんど済ませた。
世の中には、いろいろ知らない
制度があるものだ。

●『愉悦の蒐集 ヴンダーカンマーの謎』
 小宮正安(集英社新書ヴィジュアル版)

16~18世紀に、ヨーロッパで流行った、
ヴンダーカンマー(不思議の部屋)を、
豊富なカラー写真とともに紹介している。

天井につられたワニの剥製、地球儀、
マンモスの骨、東洋の文物、時計、
動物の結石、楽器、自動機械……。

一見、ガラクタの寄せ集めのようだが、
客人を驚かすための驚異の部屋、
博物館の直近の祖先だ。

たしか、澁澤さんもずいぶん紹介していたと思う。

大航海時代とともに、ヨーロッパ人の知見は、
急激に広くなった。

世界中から珍奇な文物が運ばれてくる。
これらを蒐集しようという人々が現れても
不思議ではない。

大げさに言えば、ブンダーカンマーとは、
ヨーロッパ中心だった世界観から、
地球規模に拡がった新しい世界観を
表現した部屋だと言ってもいいのではないか。

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2012.12.11

博物学の欲望

冬季になったせいか調子でない。
それでも、なんとか持ち直してきた。
仕事を進めなくては。
妻が戻り、擬似チョンガー生活は終わった。
この間、毎日、Bへ歩いて通った。
片道約50分。
おかげで少し痩せたと言われた。

●『博物学の欲望』松永俊男(講談社学術新書)
●『リンネとその使徒たち』西村三郎(人文書院)
●『大博物学者ビュフォン』ジャック・ロジ
 (工作舎)
●『動物哲学』ラマルク(岩波文庫)
●『大博物学時代』荒俣宏(工作舎)
●『十八世紀の文人科学者たち』
 ヴォルフ・レペニース(法政大学出版局)

18世紀の博物学を追究。
リンネ、ビュフォン、ラマルク、キュビエなど、
一癖も二癖もありそうな博物学者に魅せられる。
こんなに博物学に熱中症の時代は二度とこない。

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