« December 2012 | Main | March 2013 »

2013.01.20

シャーロック・ホームズの冒険

おととし、かなり大々的に、
いらないものの処分をした。

部屋が少し広くなったが、
範囲を本やCDにまで広げたのが
失敗だった。

いまになって、必要な本が
なくなっているのだ。
どうして処分してしまったのだろう。
仕事に必要な本があったのに。

あのときは精神的にも
弱っているときだったのかもしれない。

いずれにせよ、
もう、断捨離なんてチープな思考法には
惑わされない。
少なくとも本に関しては。


●『シャーロック・ホームズの冒険』
 コナン・ドイル(ハヤカワ・ミステリ文庫)

子供のころに、さんざんホームズを読んできたせいか、
すっかり読んだつもりになっていた。

しかし、よく考えれば、少年向けにリライトされた
本ばかりだったのだ。
未読の短編も多い。

やはり、何はなくともホームズはちゃんと原作を
読まなければだめだなあ。

というわけで、ホームズ作品全60作を読もう。

|

2013.01.17

成吉思汗の後宮

大島渚監督には一度取材したことがあった。
意外と温厚な方だった。
テレビでの硬派な姿勢は、
監督一流のサービスだったのだと思う。
ご子息が、私と同じ高校にいたので、
親近感がわいた。

心配なこと。
鳩山由紀夫氏が中国で要人と会談していると。
いったい、何を話すつもりなんだ。
頼むから、もう、表へ出てこないでくれ。


●『成吉思汗の後宮』小栗虫太郎
 (桃源社)

表題作をはじめ、
「海螺斎(べえさい)沿海州先占記」
「紅軍巴蟆(パムー)を越ゆ」
「金字塔四角に飛ぶ」
「ナポレオン的面貌」
など11作品。

虫太郎のエキゾチック伝奇もの短編集。
けっして評価が高いとはいえないが、
辺境を舞台にした一種の冒険小説で、
興趣がわく。

人はなぜ辺境にあこがれを抱くのか。
主人公たちは、見果てぬ夢に
突き動かされる。

法水麟太郎ものなどに見られる
濃密な作品は、量産はできない。

虫太郎が活路を見出そうとしたのは、
「人外魔境」をはじめとする
異郷ものだった。

何か虫太郎の心境が想像されて苦しくなる。
重要な作品群だと思う。

|

2013.01.14

パラケルスス 自然の光

今日は、編集の人と打ち合わせの予定だが、
雪になってしまった。

仕事の資料として読む。

●『パラケルスス 自然の光』
 J・ヤコビ編/大橋博司訳(人文書院)

●『奇跡の医書』パラケルスス著
 大槻真一郎訳(工作舎)

●『パラケルススの世界』種村季弘
 (青土社)

伝説的な医師、錬金術師、パラケルスス。
1493年(あるいは1494)、スイス生まれ。

種村季弘さんや澁澤龍彦さんの読者なら、
つとに名前は知られているであろう。

医師としては、5つの病因説を説いた。
「天体因」「毒因」「自然因」
「精神因」「神因」の5つだ。

それに対して5つの治療法がある。
「自然的」「特殊的」「心理的」
「霊的」「信仰的」の5種類である。

錬金術の分野では、万物は、
「硫黄」「水銀」「塩」からなるという
「三原質論」を唱えた。

どれも、現代の医学、化学から見れば、
ある種、珍妙な説なのだが、
後世に与えた影響は大きかった。

古代からの秘教的医学、錬金術と、
近代の医学、化学との橋渡し的な
役割をしたと考えられる。

栄光と、遍歴、放浪の波乱万丈の
人生だった。

|

2013.01.11

山の上の交響楽

ようやく仕事がおもしろくなってきた。
全体のイメージが見えてきたからだ。
けっこう、楽しい本になると思う。

●『山の上の交響楽』中井紀夫
 (ハヤカワ文庫)

読後感が爽やかな一冊。
SF短編集だ。
作者の奇想が光る。

演奏に1万年かかる交響曲を
演奏し続ける楽団員やスタッフたちの
ドタバタを描いた表題作。

電線で暮らす奇妙な生活を描いた
「電線世界」など、6つの中短編
が収められている。

もっとも、気に入っているのが、
2つの高い崖にはさまれた世界で、地の果てを目指す
早歩きの天才テンズリの物語「見果てぬ風」。

村の長老が言った、地の果てに吹くという風。
その風に吹かれたいという見果てぬ夢を追って、
テンズリは、一生かけて地の果てを目指す。

そして、ついに着いた地の果ての風は
いかなる風だったか。
パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ監督
「カオス・シチリア物語」のラストシーンを
思い起こさせる爽快感。
あの少女が砂浜を駆け下りて海に入るシーンだ。

心に残るラストシーンとして、ベスト10の
上位に入る短編である。

|

2013.01.09

隣の家の少女

最近、ほとんどのラーメン屋が、
大盛り、替え玉無料となっているようだ。
でも、この歳では、そんなに量を
食べる気はしない。
食べ放題なんていうのも魅力を感じない。

近所を歩いていると、気になるのが、
ブロック塀の家。
大地震では、ブロックが崩れて
死亡する人が多い。
それにもかかわらず、けっこう多くの家が
高いブロック塀にしている。それもボロボロの。
こんなの規制できないのかな。

読後気分最悪といわれる小説。

●『隣の家の少女』J・ケッチャム
 (扶桑社)

これって、ホラーのジャンルに入るのかな。
しかし、少女の凛とした態度に心打たれる。
そして、何度も、語り手にはイライラする。
最後に、小さなカタルシスがあることはあるけど。

スティーヴン・キング絶賛とあるが、
キングが絶賛した作品でいいのに
出会ったことがない(笑)。

でも、これは、とうとう最後まで読者を引っ張る
筆力がある。
途中で放り出してしまう読者も多いだろうけど。
良家のご子息さまたちには絶対お薦めしません。

|

2013.01.07

ノックス師に捧げる10の犯罪

世間では、今日あたりが本格的な
仕事はじめだろう。
こっちも、本腰を入れて仕事しなくては。


●『ノックス師に捧げる10の犯罪』
 ヨゼフ・シュクヴォレツキー(早川書房)

推理小説では、「ノックス師の十戒」という
ルールが知られている。
推理小説の戒めをまとめたものだ。


以下、細かい点を省略して書くと、

第一条 犯人は物語の早い段階で登場すること。
第二条 超自然的要素や魔術的要素はなし。
第三条 秘密の部屋、通路は1つまで。
第四条 まだ発見されていない毒物は使わない。
    また、長大な科学的説明が必要なトリックはダメ。
第五条 中国人を重要な役で登場させない。
第六条 探偵は偶然に助けられてはならない。
第七条 探偵その人が罪を犯してはいけない。
第八条 探偵が手がかりを得たときは、即座に読者も
    それを検討できるようにすること。
第九条 探偵の愚かな友人であるワトスン役は、
    自分の頭に浮かぶ思考をかくしてはならない。
第十条 双子の兄弟、顔がそっくりな人物は、その出現を
    自然に予測できるようにしておくこと。


これらの禁じ手をすべて破った短編集が本書だ。
当然、十戒に対して、十個の短編が収められている。

禁じ手を破るといっても、明からさまに破ったのでは
面白くない。
読者には、どの短編がどの戒めを破ったのか推理する
楽しみも与えられている。

また、エラリー・クイーンばりに、途中で読者への
挑戦状が提示される。

全編に共通しているのは、イブ・アダムという、
ブロンドの髪の女性が登場すること。

小粒な短編ばかりだが、興味津々で読むことができる。
作者は、ボヘミアの生まれで、カナダに亡命している。

|

2013.01.06

八百万の死にざま

仕事が忙しくないときは、
ウェンディーズで、
ミステリーを一気読みするのが
楽しみだった。

スティーヴン・キング、クーンツ、
マキャモンなどは、時間も忘れて
没頭できた。

有名作なのに、いままで読んでいなかった
本を正月中に読む。


●『八百万の死にざま』
 ローレンス・ブロック(ハヤカワ文庫)

主人公の無免許探偵マット・スカダーが、
アル中であるということで意表をつかれる。

現役警官のとき、誤って少女を射殺したのが
トラウマとなっているからだ。

そのスカダーのもとに、コールガール(死語?)
のキム・ダッキネンから依頼がくる。
ヒモとの関係を切りたいというのだ。

チャンスという名前しかわからないそのヒモを
なんとか探し出し、キムからの依頼をなし遂げる。

ところが、キムはそのあとで何者かに惨殺されるのだ。
そして、なんと有力な容疑者チャンスから、真犯人を
探すことを依頼されるのだが……。

もちろん、最後は意外な犯人が明らかになるけれど、
話の途中途中で、アル中体験者の会に出席するのが
おもしろい。
こんな探偵、ありなのか?
でも、満足。

それにしても、主人公は、よく飲み食いする。
とくに、ホットドッグが好物のようだ。
読んでいるうちにホットドックが食べたくなる。
きっと、アメリカのホットドックは馬鹿でかいのだろうが。

|

2013.01.05

新宿鮫 狼花

三が日は、久しぶりに仕事を忘れて、
純粋に楽しみのためだけの読書に没頭した。


●『新宿鮫IX 狼花』大沢在昌
  光文社文庫

新宿鮫シリーズは、発売になると
すぐ読んできたが、この巻だけは
なぜか読んでいなかった。
重厚な一冊。

外国人犯罪者を中心にして広がる
泥棒市場。
それを憂慮した鮫島の同期の香田が、
暴力団と組んで撲滅をはかる。
鮫島はそれを阻止しようとする。

また、鮫島の宿敵仙田との頭脳戦も
目が離せない。

今回は、鮫島の恋人である晶の出番は
あまりなかった。

そうか、これが『絆回廊』の悲しい結末へと
つながっていくのだなあ。

|

« December 2012 | Main | March 2013 »