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2013.01.11

山の上の交響楽

ようやく仕事がおもしろくなってきた。
全体のイメージが見えてきたからだ。
けっこう、楽しい本になると思う。

●『山の上の交響楽』中井紀夫
 (ハヤカワ文庫)

読後感が爽やかな一冊。
SF短編集だ。
作者の奇想が光る。

演奏に1万年かかる交響曲を
演奏し続ける楽団員やスタッフたちの
ドタバタを描いた表題作。

電線で暮らす奇妙な生活を描いた
「電線世界」など、6つの中短編
が収められている。

もっとも、気に入っているのが、
2つの高い崖にはさまれた世界で、地の果てを目指す
早歩きの天才テンズリの物語「見果てぬ風」。

村の長老が言った、地の果てに吹くという風。
その風に吹かれたいという見果てぬ夢を追って、
テンズリは、一生かけて地の果てを目指す。

そして、ついに着いた地の果ての風は
いかなる風だったか。
パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ監督
「カオス・シチリア物語」のラストシーンを
思い起こさせる爽快感。
あの少女が砂浜を駆け下りて海に入るシーンだ。

心に残るラストシーンとして、ベスト10の
上位に入る短編である。

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