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2014.01.05

デイジー・ミラー

年末年始はあっという間に過ぎた。
書かなければならない原稿もあるが、
もっぱら、新しい企画を練っていた。
苦しいがワクワクする仕事である。


●『デイジー・ミラー』ヘンリー・ジェイムズ
 (新潮文庫)

ヘンリー・ジェイムズは以前『ねじの回転』を
読んだだけだ。
ジェイムズといえば、『ある婦人の肖像』
『大使たち』『金色の盃』『鳩の翼』などの
長編小説で知られている。

これらも読みたいのだが、とりあえず、
ウォーミングアップとして短編を読むことにした。
『ヘンリー・ジェイムズ短編集』(岩波文庫)
『ねじの回転 心霊小説傑作選』(創元推理文庫)

『デイジー・ミラー』は短編と中編の真ん中くらいの
分量で、初期の代表作だ。
スイスとイタリアを舞台に、自由奔放なアメリカ娘
デイジー・ミラーに振り回される主人公
ウィンターボーンの心理を描く。

主人公の淡い恋心も主題の一つだが、
それよりも重要な主題は“文化の違い”だ。
決して紋きり型ではないが、自由なアメリカ人と、
ちょっとお堅いヨーロッパ人の違いがあぶり出される。

この物語は19世紀末が舞台だが、実際、この時代には
デイジーのような放恣なアメリカ人と堅実な
ヨーロッパ人との、小さな“文明の衝突”があちこちで
起きていたらしい。

とくに山場という山場はないのだが、
デイジーに与えられる常識人たちの非難が手厳しく、
守ってあげたいような気持ちになる。
反面、もっと常識をわきまえろよという気持ちにも
なるのだが……。
最後に、マラリアにかかって死んでしまうデイジー
が哀れを誘う。

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