« 露伴と鏡花 | Main | 青春とは、心の若さである。 »

2014.02.12

映画『一枚のハガキ』

●『一枚のハガキ』新藤兼人監督
 豊川悦司、大竹しのぶほか

一昨年、100歳で亡くなった新藤監督
最後の映画にして執念の一作。

監督自らの体験が元になっている。
戦争末期に徴用された100人の中年兵たちは、
くじ引きで、どこに配属されるか決められた。
運悪くフィリピンなどへ送られた兵士たちは、
すぐ攻撃されて船ごと沈められ、目的地に着く
ことさえできなかった。
生き残ったのはくじにはずれた6人のみ。

残った兵士のうちの1人である主人公は、
戦死した戦友から1枚のハガキを託されていた。
戦友の妻からのハガキだった。

「今日はお祭りですが あなたがいらっしゃらない
 ので 何の風情もありません」

検閲が厳しくて返信できないので、
戦争が終わったら、妻に「確かにハガキを読んだ」
ということだけ伝えてくれというのだった。

全体的に抑えたトーンになっているが、
時折、大竹しのぶ演じる戦友の妻の
絞り出すような悲嘆が静けさを破る。

声高に反戦を叫ぶような映画ではないが、
新藤監督の最後のメッセージが胸にしみる。

|

« 露伴と鏡花 | Main | 青春とは、心の若さである。 »