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2016.11.11

阿部一族

東京23区から市部に移ってはや10か月になる。
住んでしまえばそれなりに便利なのだけれど、
交通費がかかるのは想定外だった。

毎日、電車に乗っている時間は読書タイムだ。
これがけっこうはかどるのだ。
いっそ、国内外の名作を片っ端から読んで
いこうかと思った次第。


●『阿部一族・舞姫』森鴎外(新潮文庫)

鴎外は気にかかる作家だった。
ある意味では漱石より。
漱石の代表作はあらかた読んでいるが、
鴎外は「渋江抽斎」くらいしかまともに読んで
いなかったせいかもしれない。
いや、それよりも、三島由紀夫が鴎外の文章に
心酔していたのが大きい。

「阿部一族」は鴎外の最高傑作かもしれない。
主君が亡くなって、殉死することが許されなかった
主人公・阿部弥一右衛門。

許されなくて殉死できなかったにもかかわらず、
周囲からは、おめおめと生きながらえおって、
という目にさらされる。
いったい、どうしたら武士の名誉は守れるのか。
弥一右衛門は決断する。

男が男らしく生き、死ぬにはどうすればいいのか。
鴎外は終生、そのことを追及し続けたと思われる。
唐突かもしれないが、男らしく生きる主人公を
清々しく書き続けた久生十蘭に共通するものを感じる。

やはり、鴎外は史伝小説だ。
大作『伊沢蘭軒』や『北条霞亭』も読んでみたい。

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