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2017.02.24

10月はたそがれの国

●『10月はたそがれの国』レイ・ブラッドベリ
  (創元推理文庫)

本書を購入したのは中学生か高校生のときだった。
すぐ、ブラッドベリに夢中になった。
ブラッドベリのほかの本を本屋に注文したが、
当時は、『火星年代記』も『華氏451度』も
『太陽の黄金の林檎』も品切れだった。
そのことが、ますますブラッドベリ熱を高めた。

この本は、すぐに読んでしまうのが惜しくって、
1作品ずつ大切に読んだ。
幻想、怪奇、恐怖、たそがれの国に迷い込んだ。
とくに、「みずうみ」のような叙情的な作品が好みだった。

しかし、そのうち、一時、ブラッドベリ熱も冷め、
本書は途中まで読んで本棚にしまわれたままとなった。
あまりに大事にしすぎたせいだった。

今回、改めて、あの頃の高揚感を思い出しながら、
最初から読み直し、完読した。
改めて感動した。
あれから、45年以上、待たせたね。
待ってくれていてありがとう。

ブラッドベリが泉下の人となってすでに久しい。
本書を買った当時と違って、いまではブラッドベリの
代表作は容易に手に入るようになった。
どの作品も良かったが、僕にはやはり、本書が原点だ。
ああ、何もかもが懐かしい。
自分の無限の可能性を信じていたあの頃。
こんなに胸に迫る読書体験は久しぶりだった。

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2017.02.07

旅のラゴス

●『旅のラゴス』筒井康隆(新潮文庫)

クチコミで読者が広まっているという本。
筒井康隆にしては真面目な(?)SFだ。

滅亡したらしい高度な文明を持つ人種の
わずかな子孫たちが、ある星にたどり着き、
独自の、そして原初的な文明を持ち始める。

主人公は、この星でとめどない旅に出る。
行く先々で出会う魅力的、蠱惑的、悪魔的な人々。
ときに、主人公は奴隷の身に落とされることもあった。

なぜ、人は旅に惹かれるのだろうか。
文明批評、未来予想、人類讃歌、
いろいろな読み方ができる本だと思うが、
私がいちばん惹かれたのは、旅のロマンティシズムだ。

二度と会えぬ人への想いや未知への探究心、
そして、さいはてへのあくなき憧れ。
この作品には、それらのすべてが込められている。

筒井康隆のロマンティストとしての一面が
うかがわれる好一品。

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2017.02.03

断頭島(ギロチンアイランド)

●『断頭島(ギロチンアイランド)』
 フレイザー・リー(竹書房文庫)

ものものしいタイトルがついているが、
原題は「The Lamplighters(点灯員)」だ。
わりと最近の英国ホラー。
邦題にあおられて買ってしまった。

家賃も払えないほど困窮した主人公マーラの
もとに、ある日、夢のような仕事依頼がくる。
とある億万長者が所有する地中海の孤島で、
管理人をしないかというのだ。

仕事の内容はごく簡単で、破格の給料。
まるでリゾート気分で楽々生活できるのだ。
マーラは引き受けるが、そこには地獄が待っていた。
なんと、一旦、上陸したが最後、
生きて帰ったものはいないという恐ろしい島だったのだ。

この設定。ぞくぞくしながら読み始めた。
なかなか雰囲気はいいのだけれど、謎ばかり。
映画「悪魔のいけにえ」のレザーフェイスを思わせる
殺人鬼が登場するに至って、漸く盛り上がりを見せる。
だが、ラストは意味がよくわからなった。

でも、いわゆる「モダンホラー」以降のホラー小説の
新風は感じることができた。

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