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2017.08.28

恐怖の谷

●『恐怖の谷』コナン・ドイル(新潮文庫)

ホームズ最後の長編。
ある日、ホームズの元に暗号の手紙が
送られてくる。
ホームズはみごとに解読するが、
その暗号文が予告する通りの殺人事件が
起きた。

第一部は、その解決編。
第二部は、事件の発端となる20年前の
出来事が描かれる。

「最後の事件」で登場したモリアティが、
黒幕として登場する。

相変わらず、ホームズの推理は冴え渡り、
第二部も読みごたえがある。
ホームズファンのなかでは評価が高い
というのも納得の力作である。

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2017.08.25

シャーロック・ホームズの生還

●『シャーロック・ホームズの生還』コナン・ドイル
 (光文社文庫)

これまで新潮文庫版を読んできたが、
これは光文社文庫版である。
新潮文庫版は、延原謙訳で、
『シャーロック・ホームズの帰還』となっている。
光文社文庫版は日暮雅通氏の新訳だ。

新訳は読みやすいが、格調という点では、
延原訳のほうが上か。
しかし、丁寧な注釈が付いていて、理解を助ける。

本書では、「最後の事件」で死んだはずのホームズが、
帰ってくる。
全部で13編が収録されているが、なかでも、
「アビィ屋敷」は傑作。
ホームズの名解決が光る。

ホームズものも残るは、1長編と2短編集だ。

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2017.08.21

バスカヴィル家の犬

●『バスカヴィル家の犬』コナン・ドイル
 (新潮文庫)

ホームズものの長編3作目。
子供向け版で読んだことがあった。

今読んでもまったく古びていない。
閉ざされた沼沢地というシチュエーション。
バスカヴィル家に伝わる不気味な言い伝え。
複雑にからみある人間模様。

探偵小説のエッセンスを詰め込んだような
贅沢な作品だ。
解説によると、世界の評者が、この作品を、
世界探偵小説のベストテンに選んでいるという。
それも納得の面白さだ。

いまだにホームズが人気を保っているのも
よく理解できる。

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2017.08.20

シャーロック・ホームズの思い出

●『シャーロック・ホームズの思い出』コナン・ドイル
 (新潮文庫)

ホームズものの第二短編集。
ホームズが初めて手がけた事件、
「グロリア・スコット号」、
ホームズが職業として探偵業をした最初の事件
「マスグレーヴ家の儀式」が収録されている。

そして、「最後の事件」で、いったんホームズは、
姿を消すことになる。

例によって、新潮版では1編が割愛されているので、
『シャーロック・ホームズの叡智』で補った。
「ライゲートの大地主」がそれである。

なお、この『叡智』という短編集は、
オリジナルにはなく、新潮社版だけのもので、
各短編集で割愛した作品を集めたものである。

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2017.08.18

シャーロック・ホームズの冒険

●『シャーロック・ホームズの冒険』コナン・ドイル
 (新潮文庫)

ホームズものの第一短編集。
「赤髪組合」「唇の捩れた男」「まだらの紐」は、
子供版で読んでいた。
なかでも、「まだらの紐」は怖い話だった。

こうして通して読んでみると、殺人ものは、
それほど多くないのに気づく。
推理小説を読みなれた読者なら、
犯人はすぐわかってしまうだろうが、
それでも十分読むに耐える魅力をもっている。

ところで、新潮文庫版では紙幅の都合で、
2つの作品を省いている。
その2編は、同文庫の『シャーロック・ホームズの叡智』
に収録されているので、同時に読んだ。
「技師の親指」と「緑柱石の宝冠」である。
原作の順番どおりに読むため、本書と『叡智』を、
交互に読むことになった次第である。

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2017.08.16

四つの署名

●『四つの署名』コナン・ドイル(新潮文庫)

ホームズもの2作目。
これは子ども向けを読んだことがあった。
吹き矢を放つ原住民が不気味だったのを
覚えている。

殺人の動機が復讐というのは、
『緋色の研究』と同じだが、
今回は追跡劇により重点が置かれている。

ワトソンがこの事件をきっかけに結婚したのは、
覚えていなかった。
子供向けでは略していたかな。

『緋色の研究』では、軍隊で肩を怪我したはずの
ワトソンが、本書では足を怪我したことになっている。
ドイルの錯誤か。
こういう点を突っつくのがシャーロキアンの
楽しみでもあるのだろう。

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2017.08.15

緋色の研究

●『緋色の研究』コナン・ドイル(新潮文庫)

実は、恥ずかしながら、ホームズものは、
まだ、子供向け版でしか読んでいない。

そこで、ホームズもの全編を再度ちゃんと
読もうと思い立った次第。
まずは、ホームズ初登場の本書から。

不可解な殺人から、
後半、雄大な復讐譚が展開される。
ホームズの推理より、この骨太な構成に
圧倒された。

ホームズものは、再読、再再読にも
耐えられると実感した。

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2017.08.12

火刑法廷

●『火刑法廷』ジョン・ディクスン・カー(ハヤカワ文庫)

カーは、徹底的に密室殺人や不可能犯罪に
こだわった作家だ。
といっても、まだ、『皇帝のかぎ煙草入れ』しか
読んでいないのだが。

本書も、関係者全員が鉄壁のアリバイをもつ。
そして、壁に消える婦人の姿、
棺のなかからの死体消失。
事件はミステリアスな影をまとう。

また、編集者のスティーヴンズが預かった原稿に
そえられた70年前の女性毒殺魔の写真は、
なんと自分の妻マリーにそっくりだった。

毒殺魔と妻マリーの関係は?
その後のマリーの不可解な行動。
事件は混迷の度合いを深める。

最後に事件はみごとに解決されるのだが、
そのあと、さらに読者は煙にまかれることとなる。

古きよきミステリー黄金時代の傑作。

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2017.08.09

生ける屍の死

●『生ける屍の死』山口雅也(創元推理文庫)

傑作、と名高い作品だが、ようやく読んだ。
おもしろい。

ニューイングランドの片田舎で、
死者が次々と甦るという世にも奇妙な
事態が起こる。

その地で葬儀屋を営むバーリイコーン家で、
殺人が発生した。そして被害者が蘇る。

はたして犯人は生者か死者か?
実は、探偵役のグリンも、一度死んで
蘇った死者だった。

ストーリー自体もおもしろいが、
随所にちりばめられたアメリカの葬儀事情、
死生学、聖書の復活思想などの考察にも
興味を惹かれる。

死者が蘇るというとホラーのようだが、
描写はユーモラスで楽しい。
大傑作。

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2017.08.03

成吉思汗の後宮

●『成吉思汗の後宮』小栗虫太郎(桃源社)

既読のもの以外の作品を読んだ。
全体がⅠ部とⅡ部に分かれていて、
Ⅰ部が異郷の伝奇もの、
Ⅱ部がヨーロッパ系伝奇もの
となっているようだ。

虫太郎の異郷ものは、未知の世界への
ロマンティシズムを感じさせる。
その結晶が『人外魔境』シリーズなのだけれど、
よくも、講談師みたく、まるで見てきたように
書けるものだ。

虫太郎は得意の語学力を活かして、
海外文献を渉猟したのだろう。
その労力には頭が下がる。

これで、虫太郎のほぼ全作品は読破したことになる。
虫太郎は、法水麟太郎ものが最上だが、
長生きしていれば、もっともっと新境地を拓いたこと
だろうと思う。
それだけが残念だ。

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