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2017.09.17

白魔

●『白魔(びゃくま)』マッケン
 (光文社古典新訳文庫)

怪奇幻想小説の巨匠アーサー・マッケンの
南條竹則訳。
「白魔」のほか「生活のかけら」および、
短編集『翡翠の飾り』からの小品3編が
収められている。

「白魔」は少女が魔女として育っていく
過程を描いた戦慄の名品。
魔物である「白い人」に魅せられていく
少女の姿にじわじわとした悪寒を覚える。
マッケンの作品においては恐怖と法悦が、
背中合わせになっているかのようだ。

「生活のかけら」は怪奇小説というわけでは
ないが、しがない会社員の日常に忍び寄る
幻夢に読者も知らず知らず誘われていく。

現代のホラー小説と違って、マッケンの小説は
わかりやすい怖さではない。
何か、得体の知れない、原初的な恐怖感を
もたらす。
そこがマッケン好きにはたまらない魅力だ。

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2017.09.07

シャーロック・ホームズの事件簿

●『シャーロック・ホームズの事件簿』コナン・ドイル
 (新潮文庫)

ホームズ最後の短編集。
例によって、新潮文庫版では割愛してある
作品があって、その2作品は、
『シャーロック・ホームズの叡智』に
収めてある。

ホームズ作品は、ほとんどがワトソンの手記という
形をとっているが、本書には、ホームズ自身が
語り手になっている作品も収められている。
マンネリにならないように工夫したものと
思われる。

なかでも「サセックスの吸血鬼」と「三人ガリデブ」
などがおもしろかった。
が、どの作品も飽きさせずに読ませる手腕は
さすがだ。

以上、ホームズもの全9冊を発表順に読んできた。
改めてドイルの偉大さに感服した次第である。
また、いつか再読の機会もあるだろうと思った。

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2017.09.01

シャーロック・ホームズ最後の挨拶

●『シャーロック・ホームズ最後の挨拶』コナン・ドイル
 (新潮社)

ホームズの第四短編集。
解説によれば、ここに入っている作品は、
これまでのように毎月発表されたものではなく、
1908年から1917年までの10年間にわたって
ぽつぽつと発表されたものだという。

ただ、例外は「ボール箱」で、本来『思い出』に
収録されるはずだったものが本書に収められている。
発表当初、残虐で、不倫を扱っているという非難が
あったためという。

それにしても、よく毎回、これほど新しい趣向で
書き続けられたものだと思う。

「最後の挨拶」では、ホームズがすでに引退して、
養蜂を営んでいることになっている。
最後の第五短編集では、すべてこれより以前の
事件ばかりなので、実質的にホームズ最後の
活躍ということになる。
ドイルはこれでホームズものを締めくくろうと
したのだが、読者は許さなかったのだ。

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