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2019.04.12

悪魔が来りて笛を吹く

●『悪魔が来りて笛を吹く』横溝正史(角川文庫) 

実は、横溝正史はまだ『獄門島』と『本陣殺人事件』 
しか読んだことがない。 
角川映画でブームになった頃も乗らなかった。 
『八つ墓村』や『犬神家の一族』は映画で観たが、 
原作は読んでいない。 
決して嫌いな作家ではないし、むしろ好きなのだが、 
ブームに乗るのが嫌だったのだろう。 

しかし、好きな作家で未読の本がたくさんあるのは、 
楽しみなことである。 
本書も、やるせないような人間の性をめぐる謎解き 
物語で読ませる。 

帝銀事件をモデルにした宝石店大量殺人事件の容疑者 
となった椿子爵の自殺に始まって、椿家関係者が次々と 
犠牲になっていく。 
殺人現場で奏でられる椿子爵が作曲したフルート曲 
「悪魔が来りて笛を吹く」。 

果たして、一連の事件は死んだはずの椿子爵の復讐なのか。 
一癖も二癖もある登場人物たち。 
椿家関係者が抱える深い闇が、金田一耕助によって、 
解き明かされていく。 

いいねえ、横溝ワールド。 
なにより書き込まれたディテールが効いている。 
密室殺人を扱っても無理やり感を感じさせない。 
根強いファンが多いのも頷ける。

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