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2019.06.27

斜陽・人間失格

●『斜陽』太宰治(角川文庫) 
●『人間失格』太宰治(新潮文庫) 

両書とも高校時代以来の再読だ。 
初読後、三島由紀夫にかぶれたせいで、 
太宰作品とは遠ざかっていた。 
三島由紀夫は大の太宰嫌いだったからだ。 

いまさらながら再読したのは、太宰作品が 
暗くて嫌いという最近の身近な何人かの評による。 
いい加減、暗いとか明るいとかだけで、 
評価するのはやめてくれないか。 

文学が相手にするのが「人間」である限り、 
明るい面もあれば暗い面もある。 
暗くて何が悪い。 
そもそも、太宰作品には、独特のユーモアがある。 
それをただ暗いと断ずるのがおかしいのだ。 

たしかに、『斜陽』にも『人間失格』にも、 
「死」の陰はある。 
しかし、「死」は文学の最大テーマだ。 
「死」を考えるからこそ、「生きる」ことの 
真実が見えてくる。 

久方ぶりに再読してみて、意外と内容を覚えて 
いるものだなあ、と感心した。 

やはり名作というのは、若い頃に一度読んで 
おいたほうがいい。 
それを後年再読する喜びは何ものにも代えがたい。 

いずれにしろ、幸福な読書時間を与えてくれた。

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