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2019.06.08

化鳥・三尺角

●『化鳥・三尺角』泉鏡花(岩波文庫) 

「化鳥(けちょう)」「三尺角(さんじゃくかく」ほか 
「清心庵」「木精(三尺角拾遺)」「朱日記」 
「第二菎蒻本」「革鞄の怪」「茸の舞姫」が収められている。 

仕事の関係で赤坂に行ったとき、老舗書店「金松堂」で購入 
した本。久しぶりに鏡花を読んだ。 
詳細な注がついているし、収録された作品も鏡花としては 
すぐ理解しやすい作品ばかりだ。 
上質な幻想短編集といえるだろう。 

私が鏡花にハマるきっかけをくれたのは三島由紀夫だった。 
いまは手元にないが、ある文学全集の鏡花集の解説だったか、 
月報だったか。三島由紀夫が鏡花の復権を訴え、いますぐ 
鏡花全集に赴こうというような檄を飛ばしていた。 

当時、大学を卒業したばかりで、遅ればせながら就職活動を 
していた私は、会社説明会を抜け出して、神保町の書店で、 
なけなしの金をはたいて岩波書店の『鏡花全集』を購入した。 

どうやって家まで持ち帰ったのかよく覚えていないのだが、 
おそらくリュックに詰め込んで、入りきらなかった分は袋に 
入れたのだろうと思う。 
別巻を入れて三十巻の本をよく一度で運んだものだ。 

本書を読んで、そんなはるか昔を思い出した。 
急に懐かしくなって、手元にあった鏡花の文庫本を 
片っ端から読んでみた。 
『高野聖・眉かくしの霊』『春昼・春昼後刻』『草迷宮』 
『夜叉ケ池・天守物語』『日本橋』『照葉狂言』 
『鏡花短編集』(以上岩波文庫)『歌行燈・高野聖』 
(新潮文庫) 

鏡花ワールドにどっぷり浸かった一週間だった。

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